ChatGPTを何回か使ってみたけれど、どこかで見たような答えしか返ってこない。仕事に使えるイメージがわかず、そのまま閉じてしまった。
AIに頼んだら手抜きと思われないか、間違いが混ざっていないか。そんな不安も、一歩を重くします。
本当は、持ち帰っている仕事を少しでも減らして、早く帰りたいだけなのに。

ChatGPT、使ってみたけど、
どこかで見たような答えしか出てこなくて…。

わかります。私も最初は1行だけで頼んで、
クラスに合わない計画が出てきました。
私は小学校で担任をしています。社会科の単元計画をChatGPTで作り、その計画のとおりに授業をして、うまくいきませんでした。
そこから指示の出し方を変え、手直しの時間は20分から5分に。この記事では、初心者の先生がつまずく3つの壁と越え方を、私の失敗といっしょに書きます。
- 何を入力すればいいかわからない悩み
- 一般的な答えしか返ってこない不満
- 間違いが混ざっていないかの不安
- 手抜きと思われないかの心配
初心者向けChatGPTの始め方

ChatGPTは無料版から使い始められます。ただし校務で使うなら、勤務先で認められたアカウントと端末を使うのが前提です。
そのうえで、仕事の相談を打ち込む前に済ませておきたい設定が2つ。入力した内容をAIの学習に使わせない設定と、カスタム指示(AIに毎回覚えさせておく前提条件)です。
最初にこの2つを済ませておけば、「入れて大丈夫だったかな」と迷う場面がぐっと減るはずです。
無料版でできること(2026年9月時点)
2026年9月時点で、ChatGPTには無料版と月額の有料版があります。無料版でも、文字でのやりとりは回数を気にせず使えます。ファイルの読み込みや画像の生成などには、回数の上限があるので注意が必要です。
料金やプランの中身は変わりやすいもの。使う前にOpenAIの公式サイトで確かめてください。私自身は有料版を使っていて、社会科の単元計画のほかに、算数や理科でも活用しました。
文部科学省のガイドラインでは、校務で個人のアカウントや許可のない私用端末を使わないよう示されています。まずは勤務先で使ってよい環境かを確かめましょう。
入力内容を学習させない設定
ChatGPTは初期設定のままだと、入力した内容がAIの改善に使われる場合があります。この設定を切っても、チャットの履歴は残るので安心してください。
2026年9月時点の手順は、次の3つです。画面の表記は変わることがあるので、見当たらないときは近い名前を探してください。
- 「設定」を開く
- 「データコントロール」を選ぶ
- 「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにする
この設定をしても、児童の名前などの個人情報は入れない。これが前提です。
カスタム指示への学習指導要領の記入
カスタム指示は、毎回の質問の前にAIへ伝えておきたいことを書いておく場所です。2026年9月時点では「設定」の「パーソナライズ」の中にあり、無料版でも使えます。
私は単元計画の根拠が心配だったので、カスタム指示に「学習指導要領を参照すること」を書きました。
次は書き方の例です。私が書いた文そのものではありません。
小学校の教員です。単元計画や授業の案を出すときは、平成29年告示の小学校学習指導要領を参照し、どの内容に基づくかを示してください。
一度書いておけば、毎回の指示で学習指導要領のことを書き足す手間がなくなります。
壁1|ChatGPTへの短い指示文

1つ目の壁は、指示文の短さ。1行だけで頼むと、どの学校にも当てはまる平均的な答えが返ってきます。AIは、学校がどこにあり、どんな子どもがいるのかを知らないからです。
役割・学年・単元を伝える基本の書き方でも、それだけでは足りませんでした。私の場合、返ってきたのは、どの学校でも使えそうな計画でした。この見出しでは、最初の1行と、実態を足した指示文を並べて見せます。
指示文に「自分のクラスの条件」を足すだけで、返ってくる計画は大きく変わります。
最初に入力した1行の指示文
私が最初に入力したのは、次の1行でした。
あなたは、小学校の優れた先生です。〇年社会で、地域の学習の授業を教えます。単元計画を作ってください。
AIに役割を与えて、学年と単元を伝える。よく紹介される書き方を、そのまま使いました。
かかった時間は5分ほど。自分で一から作ると、30分ぐらいかかる仕事です。
一般的な単元計画が返ってきた理由
返ってきた計画は、参考にはなりました。でも一般的な単元計画で、自分のクラスに合った計画ではなかったです。
流れは体験が中心で、見た目はよくできています。ただ、学校の場所やクラスの子どもたちの様子は、どこにも反映されていません。
AIは、指示文に書かれていないことを知りようがありません。1行の指示では、学校の数だけある「実態」までは伝わらないのです。
地域と子どもの実態を足す指示文
そこで、返ってきた計画に続けて、次のように頼みました。人数と地域は、この記事ではぼかしています。
この単元計画を、クラスの実態に合わせて修正します。
〇人
〇〇県〇部の小学校
見学にいって体験することはできない
日本語が不得意な児童がいる
自分の思いをすぐに口にだしてしまう児童がいる
授業は7時間扱い
計画は、次のように変わりました。
| 1回目(1行の指示) | 2回目(実態を足した指示) | |
|---|---|---|
| 単元の流れ | 体験中心 | 資料を比べる → 職人の工夫を考える → 伝統を未来につなぐ |
| クラスとの合い方 | 一般的で合わない | 学校の場所など、現状に合った内容 |
| 子どもへの配慮 | 書かれていない | 配慮事項を目で見て確認できた |
子どもの実態は、名前を出さずに「〇〇な児童がいる」と一般的な言葉で書けば十分でした。
壁2|クラスの実態に合わない計画


正直に言います。
AIの計画のとおりに授業をしたら、うまくいきませんでした。
2つ目の壁は、実態とのずれ。計画に間違いがなくても、そのクラスで授業がうまくいくとは限りません。学校の場所も、子どもたちの様子も、クラスごとにちがうからです。
私は1回目の計画をそのまま授業に使い、この壁にぶつかりました。この見出しでは、そのときの結果と、手直しにかかった時間を書きます。
AIの計画は、クラスや地域の実態に合わせて手直しをして、はじめて使えるものになります。
AIの計画どおりに授業をした結果
1回目の計画は、実際にそのとおりに授業をしてみました。結果は、うまくいかなかったです。
計画そのものに、目立つ間違いがあったわけではありません。うまくいかなかった原因は、内容の正しさではなく、クラスの実態とのずれでした。
実施できなかった制作活動
いちばん合わなかったのは、実際に制作活動を取り入れる部分です。
その体験は、学校から遠く離れた場所でしかできません。見学に行って体験することはできず、気軽に授業へ入れられる活動ではありませんでした。
行ける場所、使える時間、子どもの様子。この3つは、先生にしか見えていません。
実態に合わせる手直しの時間
1回目の計画をクラスに合わせて直すのに、20分くらいかかりました。実態を足して頼み直した2回目は、手直しが5分程度ですみました。
| たたき台 | 手直し | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 自分だけで作る | ― | ― | 約30分 |
| 1回目(1行の指示) | 5分 | 20分くらい | 約25分 |
| 2回目(実態を足した指示) | 5分 | 5分程度 | 約10分 |
時間を減らしたのは、AIの速さではなく、最初に実態を伝えたこと。
壁3|学習指導要領に沿うかの不安

3つ目の壁は、「この計画の根拠は大丈夫か」という不安です。私も、ここで迷いました。
AIには、ハルシネーション(もっともらしい誤りを書いてしまうこと)があると言われます。単元計画は授業の土台なので、根拠があいまいなまま使うわけにはいきません。AIの答えは整った文章で返ってくるので、なおさら迷います。
カスタム指示で学習指導要領を参照させ、最後は自分の目で確かめる。この二段構えで備えます。
ハルシネーション(もっともらしい誤り)への心配
私が迷ったのは、次の3つでした。
- 学習指導要領を参考にしているか
- 根拠がしっかりしているか
- 学習活動のつながりが途切れていないか
文章がきれいに整っているほど、誤りに気づきにくくなるものです。
カスタム指示で学習指導要領を参照させる工夫
そこで、始め方の見出しで書いたとおり、カスタム指示に学習指導要領を参照することを書きました。
その後に作った計画では、間違いや根拠のない内容は見つかっていません。ただし、見つからなかったことと、誤りが一つもないことは同じではないのです。
カスタム指示は「間違いを減らす工夫」であり、「確認しなくていい保証」ではありません。
学習指導要領の原文で確かめる手順
一般に、確かめ方は次の手順が確実です。
- 文部科学省のサイトの「平成29・30・31年改訂学習指導要領(本文、解説)」のページを開く
- 小学校学習指導要領(または解説)の該当教科から、学年の「内容」を探す
- AIの計画の目標や学習活動が、その項目とつながっているかを見比べる
- つながりを説明できない活動は、削るか自分で直す
見比べるのは「目標」と「内容」の2か所。まずはそこだけで十分です。
手抜きと思われない使い方の線引き

「AIに頼んだら手抜きと思われないか」。初心者の先生がいちばん気にするところかもしれません。便利さを感じるほど、うしろめたさも出てくるもの。
答えは、どこまでAIに任せるかの線引きにあります。この見出しでは、私が決めている使い方の線引きと、個人情報の約束を書きます。
AIの案はたたき台にとどめ、判断と仕上げは先生がする。そこを手放さなければ、手抜きにはなりません。
AIの案は参考にとどめる判断
私は、AIで作った計画を参考にとどめると決めています。
たたき台は5分でできます。けれど、そのまま授業をしてうまくいかなかったのは、壁2で書いたとおりです。
AIが速く作ってくれた分の時間は、クラスに合わせる部分に使う。私はそう考えています。
正式な提出物や研修に使わない線引き
AIで作った計画は、正式な提出物や研修には使用しませんでした。
学習指導要領に沿っているか、根拠がしっかりしているか、ハルシネーションが混ざっていないか。この3つの不安があったからです。
「自分の授業の参考」と「外に出す書類」で線を分けておくと、迷わずに使えます。
児童の個人情報を入力しない約束
文部科学省のガイドライン(Ver.2.0・2024年12月公表)では、成績などの重要な情報は、セキュリティ対策が整った環境でなければ入力しないこととされています。個人情報も、AIの会社が学習に使わないと確認できない限り、入力しない扱いです。
私が指示文に書いたのは、「日本語が不得意な児童がいる」のような一般的な言葉だけ。名前や、誰のことかわかる組み合わせは書いていません。
名前・成績・健康のことは入れない。これだけは、どんなに便利でも守ります。
教員のChatGPTよくある質問

ここからは、初心者の先生から出やすい質問にまとめて答えます。本文で書ききれなかった、料金・ルール・個人情報・子どもの実態の書き方などを取り上げました。
料金や機能は変わりやすいので、2026年9月時点の情報として読んでください。答えのうち、私の体験によるものは「私は」と書き分けています。迷ったときは、まず勤務校のルールを確認するのがいちばん確実です。
無料版と有料版の選び方
2026年9月時点で、無料版でも文字でのやりとりは回数を気にせず使えます。ファイルの読み込みや画像の生成を多く使うなら、有料版が向いています。料金は変わりやすいので、OpenAIの公式サイトで確認してください。
私は有料版を使い、社会科・算数・理科で活用しています。週に何度も使うようになってから有料版を考える、という順番で十分です。
勤務校や自治体のルールの確認先
文部科学省のガイドラインでも、教育委員会の方針やセキュリティポリシーに従うことが示されています。
一般に、確認先は次の3つです。
- 管理職
- 校内の情報担当
- 自治体(教育委員会)の生成AIガイドライン
使ってよいかどうかを、自分ひとりで決めないことが大切です。
児童の名前を入れたいときの置き換え方
名前は入れず、「Aさん」「児童1」のような記号に置き換えます。
ただし、置き換えても、特徴を細かく重ねると誰のことかわかってしまいます。記号にしたうえで、特徴は必要な分だけ一般的な言葉で書きましょう。
子どもの実態の書き方
私は「日本語が不得意な児童がいる」「自分の思いをすぐに口にだしてしまう児童がいる」のように書きました。
これだけでも、計画に配慮事項が入り、目で見て確認できるようになりました。1人ひとりの説明ではなく、「こういう子がいる」という書き方で十分です。
AIの単元計画をそのまま授業に使うこと
おすすめしません。私は実際にそのまま授業をして、うまくいきませんでした。
くわしくは、壁2の見出しで書いています。使うのは、クラスの実態に合わせて手直ししてからです。
まとめ|ChatGPTはたたき台から

初心者の先生がChatGPTでつまずく壁は、3つありました。
- 1行の指示文で出る一般的な答え
- クラスの実態とのずれ
- 学習指導要領に沿うかの不安
越え方はシンプル。指示文に実態を足し、カスタム指示で学習指導要領を参照させ、最後は自分の目で確かめる。
指示を変えた2回目、単元計画づくりは30分から約10分になりました。浮いた時間は、クラスの子どもたちに合わせる部分に使えます。
まずは次の単元計画で、この記事の「地域と子どもの実態を足す指示文」をコピーして、1回だけ試してみてください。持ち帰り仕事が、少し軽くなるはずです。
参考資料


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