単元計画、毎回どれくらい時間をかけていますか。教科書とにらめっこして、指導書をめくって、気づけば放課後がまるっと消えている……そんな夜を、私も数えきれないほど過ごしてきました。でも先日、AIに単元計画の「たたき台(最初のおおまかな案)」づくりを任せてみたら、これまで2時間かかっていた作業が45分で終わったんです。そして何より、浮いた時間が思いがけない場所に返ってきました。「“AIは気になるけど、うちのクラスには合わなさそう”——そう思っている先生にこそ、読んでほしい話です。
なぜ「AIに単元計画」で多くの先生がつまずくのか
毎回ゼロから頼むから、毎回バラバラで時間がかかる
「AIで授業準備が楽になるらしい」と聞いて試してはみたものの、なんだかしっくりこなくてやめた――そういう先生、多いと思います。原因のひとつは、毎回ゼロから指示を打ち込んでいること。その日の気分で頼み方が変わるから、出てくる案も毎回バラバラ。結局、整えるのに時間がかかって「自分で書いたほうが早い」となってしまうんですよね。
「いい感じに作って」では、目の前の子に合わない一般論が返る
もうひとつは、頼み方がざっくりすぎること。「3年生の社会、いい感じに単元計画作って」とお願いすると、教科書の見出しを並べただけのような、どこかで見た一般論が返ってきます。指導要領との対応も曖昧で、これでは使えません。AIが悪いのではなく、こちらが「何を大事にしているか」を伝えていないのが原因でした。
カギは「カスタム指示」=AIに“自分の型”を一度だけ教える
カスタム指示って何?
ここで効いたのが「カスタム指示(AIにあらかじめ前提を覚えさせておく設定)」です。毎回打ち込んでいた「私はこういう方針で、こういう様式で作りたい」を、一度だけまとめて登録しておく。すると次からは短いお願いだけで、自分の型に沿った案が返ってくるようになります。料理でいう「合わせ調味料を作り置きしておく」感覚に近いです。
私がやった3ステップ
- 指示文を設計する ― 自分が単元計画で大事にしている観点(指導要領との対応、評価の3観点、児童の実態の入れ方など)を、ひとつの指示文にまとめました。私はClaude Code(文章づくりを手伝ってくれるAIツール)を使って整えましたが、ここは普段お使いのAIでも構いません。大事なのは道具より「自分の型を言葉にする」ことです。
もし、「指示分を作る、っていってもどうしたらいいかわからないよ…」という方は、ChatGPT、gemini、どのAIでもよいので、「geminiのgemの、カスタム指示をどのように書けば良いか教えて。」と尋ねると、AIが一緒に考えてくれますよ。 - Geminiのカスタム指示欄に貼る ― 作った指示文を、Geminiの設定欄に貼り付けるだけ。
Geminiを開いたら、左下の歯車マークをクリック。
Gemをクリック→Gemを作成(青い丸枠、白抜きの文字)をクリックします。
名前、説明は適当に付けてOKです。
カスタム指示、という欄があるので、そこにさっき作った指示分を貼り付けて、保存してください。 - 職員にも共有する ― 同じ指示文を同僚にも渡しました。これが思った以上に効きました。
実際に何が変わったか
時間:2時間が45分に
いちばん分かりやすいのは時間です。単元計画と本時の授業計画のたたき台づくりが、これまで約2時間かかっていたのが45分に。半分以下です。もちろん、出てきたものをそのまま使うわけではありません。でも「真っ白から始める」のと「たたき台を直す」のとでは、心の重さがまるで違うんです。
方向性:最初から軸が揃う/学校で型がそろう
指示文に自分の方針を入れてあるので、案の方向性が最初から揃っているのも大きな変化でした。「何を目指す単元か」がブレないので、迷う時間が減ります。共有した同僚からは「すごい」「昔思い描いていたことが本当に実現している」という声が。なかでも嬉しかったのが、「経験の少ない先生でも、指導要領にそった単元計画のたたき台がつくれる」という言葉でした。一人の時短ではなく、学校全体の底上げにつながる手応えがありました。
でも、これが本当の目的じゃない
先日の休み時間、私は教材を広げる代わりに、子どもと校庭で鬼ごっこをしていました。息を切らして笑い合ったあの時間は、どんな教材より子どもとの距離を縮めてくれました。——これが、AIに単元計画を任せていちばん良かったことです。
AIが作ってくれるのは、あくまでたたき台。「この学年、この教科なら」という、誰がやっても同じになる部分までです。そこから先――目の前にいる、この子たちに合わせて調整することは、AIにはできません。あの子がつまずきそうな場面、この子が活躍できる役割、クラスの今の空気。それを知っているのは担任である私たちだけです。
つまり、AIに任せるのは「誰がやっても同じ部分」。空いた時間で私たちがするのは「この子たちにしかできないカスタム」。複数の授業の準備も放課後の時間内に終わるようになって、持ち帰り仕事も減りました。AIが返してくれたのは、時間そのものというより、子どもと向き合う余白だったように思います。
明日からできる第一歩
大きく始めなくて大丈夫です。まずは1単元だけ、AIにたたき台を頼んでみてください。そのとき、ざっくりでいいので「自分が単元計画で大事にしていること」を最初に渡すと、返ってくる案がぐっと変わります。
【最初に渡す指示文のひな型(コピペOK)】
・私は〔学年・教科〕を担当しています
・単元計画は〔指導要領の指導事項・評価の3観点〕を必ず踏まえてください
・児童の実態:〔例:書くのが苦手な子がいる/話し合いはできる〕※個人名は書かない
・出力は〔単元計画の表+本時の流れ〕の形でお願いします
最後に、注意点を3つだけ。
- 児童名・個人情報は入れない。これは絶対です。AIに渡すのは一般化した情報だけに。
- 鵜呑みにしない。あくまでたたき台。指導要領との対応は自分の目で確かめる。
- 最後は自分で仕上げる。この子たちに合わせる作業こそ、私たちの仕事です。
おわりに
AIに任せたのは“誰がやっても同じ部分”。空いた時間は、この子たちにしか作れない授業に使う。時短は、そのための手段でしかありません。
あわせて読みたい(AI時短術シリーズ)
①[AIで所見文を書く] / ②[AIで教材研究] / ③[AIで学年便り]


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