教室に入った瞬間、子どもが泣いている。隣の子は怒っている——。「どうしよう」と、一瞬で頭が真っ白になった経験はありませんか。
教室で子どもがいきなり喧嘩、SNSのことで相談……。学校現場では、日々何かしらの生徒指導が起こります。もちろん未然に防ぐ働きかけは大切ですが、どれだけ気をつけていても、起きてしまうのが生徒指導です。
そこで今回は、もし生徒指導が起きてしまったときに、教員がとるべき行動をお伝えします。結論は、次の5つです。
- 子どもの安全確認(できれば事情の確認も)
- 学年主任・生徒指導主任・管理職に相談
- 子どもを別々に呼び、事実確認
- 子どもの直すべき行動について、指導
- 学年主任・生徒指導主任・管理職に報告
ひとことで言えば、「安全・相談・事実確認・指導・報告」。それでは、詳しく解説していきます。
1 子どもの安全確認(できれば事情の確認も)
例:教室に入ると、Aさんが泣いている。近くには、怒った顔をしたBさんがいる。
あなたが教室に入ると、こんな状態の子どもたちがいました。ここでまずとるべき行動は、子どもの安全確認です。
Aさんが泣いている原因は、まだ分かりません。もしかしたら、けがをしているかもしれません。体調が悪くて泣いているのかもしれません。まず確かめるのは、命に関わる事態かどうかです。
けががあれば保健室へ移動します。トラブルが原因なら、場所を移して、落ち着くまで待ちます。AさんかBさん、どちらかからトラブルの原因を聞けそうなら、簡単に確認します。
また、周りに見ていた子どもがいたら、事情を聞きましょう。ただし、目撃情報だけですべてを決めつけないこと。ここは後でとても大事になります。
2 学年主任・生徒指導主任・管理職に相談
命に関わる事態でなければ、学年主任(または近くにいる先生)に声をかけましょう。
「主任先生、すみません。うちのクラスのAさんとBさんが、けんかをしたみたいです。これから事実確認をしたいので、手伝っていただけますか?」
もし重大な事態(いじめ、大けが、金銭的な問題、人権に関わる事態)なら、学年主任と一緒に、生徒指導主任・管理職へ相談していきます。
今は、担任ひとりで何でも解決する時代ではありません。同僚と協力して事案にあたることが求められています。生徒指導主任はアンテナを高くして全校を見守っていますから、判断に迷うときも、安心して相談しましょう。
3 子どもを別々に呼び、事実確認
先生に協力を仰ぎ、役割分担ができたら、事実確認にうつります。基本は、関係する子どもを別々に聞き取ることをおすすめします。
理由は2つあります。1つは、子どもの記憶はあいまいで、まわりの子の話につられて答えてしまうことがあるため。もう1つは、自分に不都合なことは、つい隠してしまうためです。(子どもだって、叱られたくないですからね。)
聞き取りでは、メモをとりながら5W1H(いつ・どこで・だれと・なぜ・何をして・どうなった)を確かめます。この例では、Aさんと担任、Bさんと学年主任、というように分かれて聞くとよいでしょう。
確認後は、聞き出した話にずれがないか、学年主任とすり合わせます。ずれがあれば、どちらかが嘘をついている、興奮していて自分に都合よく記憶している、単純に覚えていない、などの可能性があります。目撃した子の話も交えながら、矛盾点を整理していきます。
なお、内容が軽い場合は、担任ひとりで別々に確認することもあります。
今回の例では、どうやらこんな流れだったようです。体育のサッカーで、勝ったチームのBさんが、負けたAさんを「弱いな」とからかって煽った。煽られて頭にきたAさんが、Bさんを叩いた。叩かれたBさんも、Aさんを叩き返した。——その直後の教室が、冒頭の場面だったわけです。
4 子どもの直すべき行動について、指導
(子どもから事実確認をするときの配慮は、別の記事でくわしく説明します。)ここでは、お互いから事実が確認できたあと、指導するときに大切にしたいことをお伝えします。
指導のときは、子どもの人格や存在を叱るのではなく、子どもの「行動」を叱ります。
- NG:「Bさん、あなたはひどい!本当にだめなやつだ!」
- OK:「Bさん、腹が立った気持ちは分かるよ。でも、叩いたり、人をからかったりするのはちがうよね。」
大切なのは、行動に目を向けさせ、次の行動を一緒に考えることです。
「叩いてしまったのは、いけなかったよね。じゃあ、もし同じことが起きたら、今度はどうしたらいいと思う?」
「分からないか。そういうときは、近くの先生に助けを呼ぶんだよ。先生は、あなたのことを絶対に守るからね。」
今回の例で指導したいポイントは、3つです。①Bさんが相手を傷つける言葉で煽ったこと、②Aさんが叩いてしまったこと、③Bさんが叩き返してしまったこと。「言われたから」「やられたから」で終わらせず、自分の行動を一つずつ一緒に振り返ります。
お互いのいけなかった点を理解し、謝り合い、これからの生活を見直す。子ども自身が「次はどう振る舞うか」を学んでいけるように指導します。指導の途中も、お互いにくすぶった気持ちが残っていないかを確かめながら進め、あとに引きずらないようにします。
5 学年主任・生徒指導主任・管理職に報告
指導が終わったら、学年主任に指導の内容を報告しましょう。事態によっては、生徒指導主任・管理職にも一緒に報告します。
指導のあとも、AさんとBさんの様子を見守り、引きずっていないか、気持ちの整理ができているかを確かめます。また放課後には、それぞれの保護者へ、事実と指導内容を電話で連絡しましょう。こまめな連絡は、保護者との信頼関係をつくる土台になります。ぜひ、心がけてください。
おわりに
以上、生徒指導の事案が起きたときの「5つの行動」を説明しました。
あくまでこれは一例で、すべての事案にそのまま当てはまるわけではありません。それでも、事実をていねいに確認すること、ほかの先生と協力して指導にあたることは、どの事案にも共通します。
ひとりで抱え込まず、たくさんの先生と協力して、子どもを育てていきましょう。
あわせて読みたい:「子どもから事実確認をするときの配慮」も、追って書いていきます。



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